コラム「子どもは“がんばる”ことが好き そして達成感を体得させることが大切」|幼児教室探しの『幼児教室どっとこむ』

−子どもは“がんばる”ことが好き そして達成感を体得させることが大切−

子どもが立って歩けるようになると自由に動くことが嬉しくてよく動き回りますね。そして足取りもしっかりしてくる1歳半頃には、手と足の力が強くなり、何かをする際に最大限の努力をしたがるようになります。“がんばる”ことが好きな年齢になります。
教室でも月齢が1歳5ヶ月のDちゃんは、ピンクタワーの一番下の10cm角の重い積み木を、両手でかかえながら遠くから指導者の所まで運んできます。この積み木は角が丸くなっていないので途中で転びでもしたら・・と指導者は内心ハラハラしながらDちゃんが運んでくるのを注意しながら見ているのですが、Dちゃんが無事指導者のところまで積み木を運び終わると、「よいしょ!ああ重かったねえ。」とDちゃんの呼吸に合わせて声をかけます。
そうするとDちゃんは「うん」と大きく、満足そうにうなずいて、またより大きそうな積み木を運ぶべく移動します。同じ動作を何回か繰り返した後、今度は残りの積み木が入ったカゴごと、重たそうに、顔を紅潮させ足を踏ん張りながら運んできました。重ければ重いほど運び甲斐があるようです。

モンテッソーリは「Education for A New World」の「知性は運動をとおして発達する」という章に続く「自発的活動の開始―1歳半―」という章の中で言っています。「この年齢(1歳半)の子どもは、大人の考え方からすれば、おそらくバカバカしいような仕事をしはじめますが、このことは全然問題ではありません。かれは、その活動を最後までやり終わらなければならないのです。そこには、行為の完成に対する生きいきとした強い衝動があります。もしこのような強い衝動のサイクルがこわされると、正常からの逸脱と目的のなさを示すようになります。多くの大切なことが、この活動のサイクルに付随しており、それは、未来の生命のための一つの間接的な準備なのです。<中略>したがって、生命や身体に度を越して危険でない限り、どんなにバカげたものであっても、大人は子どもらしい活動をやめさせるような干渉をすべきではありません。それを理解しなければなりません。子どもは、かれの活動のサイクルを遂行しなければならないのです。」と。
また「2歳になると、子どもは歩く必要がありますが<中略>この時期の子どもはどこかに着くことを望んでいるのではないのです。かれはただ歩きたいのであって、かれを本当に助けようとするなら、大人は同じ歩調で歩くことを期待したりしないで、かれのあとからついていかなければなりません。

子どものあとについていくことの必要性をここで明らかにしましたが、それはまさに教育のあらゆる領域での一般に通ずる規則なのです。子どもは、かれ独自の成長の法則を持っており、私たちが、かれが成長するのを援助したいと望むなら、私たちはかれに自分を押し付けるのではなくて、かれに従わなければなりません。」とも。
「努力」というと、子どもがもう少し大きくなって、少なくとも幼稚園に上がってから、子どもが何か苦手なことができた時に、それをがんばって克服するということに使うことが多いようですが、自分のできることより少し難しいことに挑戦してがんばることも「努力」ですね。苦手なことを克服するために努力することは大人でも決して楽しいことではありませんし、時間がかかり根気もいります。できればまだ苦手なことがないうちに、好きなことを少しずつグレードを上げて、がんばってやってみたらそれができたという達成感を体得させながら努力することの楽しさを子どもに気付かせたいのですが、その始まりは、もう、1歳半くらいの時の“大人には理解しがたい子どもの行動のサイクルの遂行”からなのです。
お母さん、お子さんがこの年齢のころ、何かをがんばってやり遂げようとしている時に、干渉したり、ご自分の都合で(たとえば部屋がちらかるとか、汚れるとかの理由で)その行動のサイクルを断ち切ったりしてしまったことはありませんでしたか?子どもががんばって努力をしている時にそれをさせないのは、子どもに「がんばってはいけない」「努力してはいけない」と言って、お母さん自らが、がんばることのできない、何事にも努力をしない子どもを育てていることになりますね。

今現在、お子さんが、今ひとつがんばりがきかない、根気がないと思っていらっしゃるお母さん、今からでも決して遅くありません!お子さんの日常の様子を見てみましょう。そして、それがどんな事であれ、お子さんが何かをしている時は、干渉せず、少しでもがんばって、やり終えるまで見守ってから「すご〜い!よくできたね。」と誉めてあげましょう。あまりのお母さんの感激ぶりに、お子さんは、初めはドギマギし戸惑うかも知れません。でも次はもっとお母さんに喜んでもらいたくて、目を輝かせながらがんばって“行動のサイクル”を遂行し、達成感を味わうことでしょう。そして次も、次も…と。どんなことでも、“がんばって”達成感を味わった子どもは、やがては自分の目標に向かって惜しまず努力をする人間に成長しますよ。

最後に、モンテッソーリが先の本で言っていることをもう一つ紹介しましょう。「母親は普通、子どもの理想とする美しさの理想です。」…お母さん、母親になってよかったですね。がんばりましょうね。

キッズラーニング
代表 三田 淑美先生
※現在教室は閉鎖しました

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